日本経済の明るい未来の作り方はどうすればいいのか? それは「圧倒的世界一」になっている日本競馬の大成功がすべてを教えてくれる

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これで、おわかりだろうか。ここには、貴族はいない。主役は庶民である。同時に、すべてボトムアップである。そして、地方から出てきて、中央のスターを倒すという強者に対する挑戦のドラマがある。

さらに、すそ野の広さ、ライトファンの多さ、女性への浸透。そして、オタク的な熱狂的なファンの確立そして拡大。さらに、賭ける対象としての競馬ではなく、レースを愉しむ競馬、推し活(ハイセーコーは推し活そのものだ)、さらには、生産、育成の側の視点と、競馬を多次元に多層構造で支えるファン層が積み重ねられ、4次のブームで、それがすべての世代に行き渡っているのである。こんな国や社会はどこにもない。

多重構造のファンに支えられている日本の競馬

整理しよう。第1に、日本の競馬ファンは層が広い。第2に、ギャンブルだけではないので持続性がある。第3に、経済社会構造的背景と親和性が高い。この3つが相まって、持続性の高い多重構造のファン層が形成されているのである。

つまり、流行によりファン層が広がりながら、それが一時的なものにとどまらず、オタク的に、つまり深い愛情、愛着を持って続いていく。深く長く、なのである。

流行のきっかけもギャンブルの外、競馬の世界からも外、つまりゲームやマンガ、アニメから来たり、社会経済構造から来ていたり(ハイセーコーは、集団就職などで田舎から都会に出てきた孤独な労働者層が自分に重ね合わせた)するので、広くかつ強い動機付けになっている。

一方、貴族は没落するし、富裕層は気まぐれで飽きっぽい。ファンが広く多様であれば、ブームでは終わらないし、どのような経済、社会に変化していっても消滅することはない。経済の景気循環や長期的な構造変化に強いということである。

さらに、これと同じことが、馬券を買い、レースを見て楽しむという活動の逆サイドの競馬に関する活動、つまり、馬主という所有側、購買側、生産サイドについても言えるのである。実は、これが日本で競馬産業が持続的に成長してきた、海外とは全く異なる最大の強みである。

世界的には、馬主はとてつもない金持ちがほとんどである。欧州は、かつては貴族、現在はオイルマネー。米国は、事業の成功者および大規模生産牧場というオーナーブリーダー(生産者が馬主になっている)。

一方、日本では、馬券を買うファン、レースを愉しむファンが、同時に馬主になっているのである。これは、一口馬主という素晴らしい発明が可能にした。類似の仕組みは世界中にあるが、その多くは金持ち同士でシンジゲート的に持ち合うものである。日本では、本当の庶民が、数万円ずつを数百人で出し合って1頭の馬を所有する、真の一口馬主、庶民馬主なのである。これが広がったのは、ダービースタリオンで、競馬血統オタクが多数誕生したことであり、その背後には、推し活の大隆盛に見られるように、育てる、ということが大好きな国民性がある。

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