買った企業を1ドルで売った東芝、借金4兆円で「見えない資産」を爆買いした武田薬品…決算書から読み解く超有名企業による買収戦略の行方
企業のブランド価値をどう換算するのか
有価証券報告書に記載される情報のうち、数字で書ける会計データは、じつは全体の半分以下にすぎません。これらを専門用語では定量データと呼びます。
残りの半分以上は、会社の歴史、企業理念、事業内容、事業所の場所、工場などの設備、役員の名簿など、いわゆる会社紹介のような事柄が文章で書かれています。定量データに対し、これらを定性情報と呼びます。
定性情報のうち、企業の収益力に貢献している重要なものを無形資産と呼びます。英語ではIntangible Assets(触ることのできない資産)です。
ここに含まれるものは企業のブランド価値、その会社が持っている特許権、商標権、独自の技術的ノウハウ、顧客資産、従業員のスキルを含めた人的資産、リスク管理の厳格性、さらには地域や環境への貢献度など、いずれも数値化されない資産ですが、企業のパフォーマンスを測定する上で重要な情報です。
「数字で書ける会計データは定量データ、文章で書かれたものは定性情報」と説明しましたが、無形資産の中には、市場での取引を経て金額が確定したものもあります。たとえば、購入した特許権や、コンピュータのソフトなどです。
こうなってくると会計として記載することが可能になり、これらは貸借対照表の「資産」の中の「無形資産」という項目の中に記載されます。
では、Aという企業が、明らかに価値のあるブランドや技術を持っている企業B社や、B社のビジネスを買収した場合、買収されたB社の資産は、買収したA社の会計上、どのように記載されるのでしょうか。
物的資産であれば、買収したA社の資産にそのまま加えられるのは納得できますよね。では、B社の持つブランドや技術はどう換算されるのか。
コカ・コーラであれ、パナソニックであれ、トヨタであれ、メルセデス・ベンツであれ、それぞれの企業は長い歴史を通じて自らのブランド価値をつくり上げてきました。
でも、トヨタの財務諸表のどこを見ても、トヨタのブランド価値の金額は載っていません。その価値が数値化されて会計の対象になるのは、誰かがそのブランドを買ったときです。






















無料会員登録はこちら
ログインはこちら