ワシントン条約におけるニホンウナギの貿易規制案は否決。だが、日本側の言い分に対しては批判も・・・依然残る規制や価格高騰のリスク
「EUの提案は科学的根拠を欠いており、このことを政府一丸となって関係各国へ説明してきた。わが国との良好な二国間関係が、多くの支持につながった」。鈴木憲和農林水産相は、12月5日の会見でそう強調した。
4日にウズベキスタンで開催された、絶滅のおそれがある希少種の国際取引を規制するワシントン条約締約国会議の全体会合。ウナギ属全種を同条約の「付属書2」へ掲載し取引を規制する提案が、正式に否決された。
この提案は、欧州連合(EU)とパナマが提出したものだ。全体会合に先立って開かれた11月27日の委員会では、賛成35、反対100と採択に必要な3分の2以上の賛成に届かず否決されていた。
EUとの議論は平行線のまま
主に日本で親しまれているニホンウナギなどは、国際自然保護連合(IUCN)が定める絶滅危惧種だ。日本は世界一のウナギ消費国だが、国内供給量の約7割を輸入に依存している。
付属書2に掲載された場合、輸出国は科学的助言などに基づく許可書の発行が求められる。手続きが増えて、輸入コストが上昇する懸念や、外食や加工品の値上げなどを通じて消費者にも影響が出るおそれがあった。

取引規制による価格高騰はひとまず回避され、業界からは安堵の声が上がっている。
外食チェーン「鰻の成瀬」を全国で展開するフランチャイズビジネスインキュベーションの山本昌弘社長は、「日本政府にしっかり立場を主張してもらえてよかったし、ウナギを食べる大切な文化が守られて安心した」と語った。
ただ、これにて“一件落着”とはならない。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら