絶滅危惧種のウナギを「これからも食べられる」と喜ぶ日本人に欠けた視点
野生動物の国際取引を規制するワシントン条約の国際会議で、EUなどが「ウナギの全魚種を規制対象にする」とした提案が、反対多数で2025年12月4日に否決されました。
「これで蒲焼が食べられる」といった安堵の声を伝える報道もありました。確かに輸入が規制されれば、輸入に手間がかかったり供給が減ったりして、価格高騰は避けられません。ウナギを看板にしている専門店にとっても深刻です。
日本は世界最大のウナギ消費国で、供給の約7割を中国などからの輸入に依存しています。ニホンウナギを含むウナギ全種が、輸出国の許可が必要な「付属書Ⅱ」に記載されると、養殖に使われるシラスウナギ(ウナギの稚魚)だけでなく、生きたウナギも蒲焼も対象となります。
「クロマグロより高い」ウナギの稚魚
ところで、日本の養殖に使われるシラスウナギの価格をご存じでしょうか。次のグラフは、養殖用に池入れされた取引価格と価格の推移です。今年(25年)の価格はキロ130万円(24年は250万円)と、非常に高い水準で推移しています。
ちなみに豊洲(築地)市場では、毎年恒例のクロマグロの初競りが有名ですね。その過去最高価格は、ご祝儀相場ではありますが、2019年のキロ約120万円(推定)で、1本3億3360万円でした。シラスウナギの年間平均価格はこれを上回り、いかに高価かがわかります。
なお、クロマグロの年間平均価格(生鮮)は、キロ約4000円(24年豊洲市場)と、その100分の1以下です。



















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