絶滅危惧種のウナギを「これからも食べられる」と喜ぶ日本人に欠けた視点
しかしながら、貿易規制しているにもかかわらず、密漁・密輸で中国などに持ち込まれてしまえば、資源回復はおぼつかなくなってしまいます。今回のウナギ属の全種を「付属書Ⅱ」に入れる提案は、違法取引などの抜け道を塞ぐ狙いがありました。中国で養殖されたウナギにも貿易規制をかければ、ヨーロッパからの密輸も、日本などへの輸出もやりにくくなることでしょう。
ヨーロッパウナギの輸出禁止により、中国での養殖には、中国で獲れたニホンウナギのほかに、アメリカウナギ(学名 Anguilla rostrata)が使われています。ところが、そのアメリカウナギは、ニホンウナギと同様に絶滅危惧種(絶滅危惧IB類)になっています。
安易に「養殖すれば何とかなる」と考えない
日本は世界最大のウナギ消費国です。ニホンウナギが激減し、それがヨーロッパウナギに置き換わって絶滅危惧種となり、今度はアメリカウナギを食す――。ウナギを食べてはいけないと言っているのではありません。言いたいのは、資源管理とトレーサビリティーをしっかり行うという大前提を徹底し、ウナギ資源を持続的にしなければならない、ということです。
ウナギの完全養殖の研究がされていますが、それも、どこまで「現在のようにシラスウナギを捕まえて養殖する形」と置き換えられるのかは分かりません。大きな話題となっていたクロマグロの完全養殖は採算が合わず、すでに撤退の方向です。
安易に「養殖すれば何とかなる」と考えず、天然資源をいかに持続的にしていくかが重要なのです。まだまだ、ワシントン条約で規制がかからなくてよかった、という段階ではありません。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら