絶滅危惧種のウナギを「これからも食べられる」と喜ぶ日本人に欠けた視点

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国産だけでなく、輸入シラスウナギ(ウナギの稚魚)の価格も高額です。養殖用なので同じく活魚となりますが、例えば昨年(2024年)の輸入数量は12.5トンで、価格はキロ165万円でした。こうした高額単価ゆえに、国内外で密漁・密輸問題が発生しています。

シラスウナギ(写真:筆者提供)

ヨーロッパウナギの稚魚は輸出不可で密輸の可能性も

EUが貿易制限を提案した背景には、ヨーロッパウナギの資源管理があります。ヨーロッパウナギはワシントン条約の「付属書Ⅱ」に掲載されており、その稚魚であるシラスウナギも取引規制の対象です。EUは資源管理のため、輸出に必要な許可証を発給しない運用をとり、09年から実質的に輸出できなくしています。

ところが密輸などで、ウナギの養殖国である中国などに運ばれて養殖されている可能性は否定できません。なお、ヨーロッパウナギ(学名 Anguilla anguilla)と、中国や日本などで獲れるニホンウナギ(学名 Anguilla japonica)は異なる種類です。

EUからは、最大で年間100トンものウナギの稚魚(シラスウナギ)が密輸されているとの推定が示されています。DNA検査などで、中国にいないはずの欧州ウナギが養殖されており、その一部が日本向けにも混じって出てくる可能性は否定できません。キロ100万円を超える非常に高い価格が、密漁を誘発してしまいます。

では、なぜキロ100万円以上でも採算が合うのでしょうか。0.2gで6センチ程度のシラスウナギが、半年から1年半かけて育てられます。そして出荷時には200~300グラムとなり、1000~1500倍の大きさに成長します。このため、生き残るウナギの比率にもよりますが、仮に全部が生き残って1000倍に成長した場合、キロ100万円だった稚魚の単価は、キロ1000円の蒲焼用ウナギ原料になるというわけです。

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