いよいよ迷走する「トランプ関税」、このままではアメリカを信じて資産運用をするのはマズイかもしれない

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どういうことになっているのか、あらためて整理してみよう。

トランプ関税は「フェンタニル・商品別・相互」の3種類

1. トランプ政権が最初に打ち出したのは、カナダ、メキシコ、中国への追加関税だった。国境沿いにフェンタニルという薬物が入ってくるからという理由で、IEEPA(国際緊急経済権限法)という1970年代の法律を使って導入した。カナダとメキシコは25%、中国向けは当初は10%だったが、その後20%に引き上げ。これをフェンタニル関税と呼ぶことにしよう。

2. 次に鉄鋼・アルミなどへの商品別関税である。こちらは「通商拡大法232条」を使ったもので、手続きに時間がかかるものの、法的位置づけには安定性がある。第1期トランプ政権でも発動されたが、当時は安倍晋三政権がうまく立ちまわり、自動車関税は辛くも回避することができた。今回はそれが発動されてしまい、対米輸出に25%の追加関税が課せられることになった。

3. そしてトランプさんが「解放の日」と呼んだ4月2日(日本時間では4月3日早朝)、相互関税の発表が世界を震撼させた。商品別ではなく、貿易赤字の多寡によって国別に税率を定めるもので、アメリカの貿易赤字が危機的な水準であるから、とこれもIEEPAを根拠としている。

相互関税は3層構造で、①すべての国を対象に10%の最低税率を定め、②相手国との貿易赤字を輸入額で割って半分にする、という大雑把な数式で各国別の税率を定め、③ただし税率は、各国との交渉に応じることになっている。

さあ、わかりにくい。日本製乗用車の対米輸出には、従来の2.5%の関税に25%が追加されて27.5%となる。しかし相互関税分の10%が上乗せされるわけではない。

他方、中国に対してはフェンタニル関税の20%に相互関税の34%がそのまま加算される。しかも中国側が報復関税に打って出たことがトランプさんの逆鱗に触れ、追加関税はさらに加算されて累計で145%となっている。

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