90日間延期にはなったが大混乱は続く…「トランプ関税」が引き起こす危険シナリオ

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シナリオ2
株式、債券揃って下落、金融市場の混乱から逆資産効果?

今回の高関税政策でトランプ大統領自身が、アメリカ国債の下落=金利高、に驚いたのだろう。株式市場の下落はあらかじめ想定していた範囲だろうし、株式を保有しない中間層以下の支持者の負担は大きくない。株価下落はむしろ民主党支持者への打撃になると読んでいた節がある。

しかし、同時に長期国債が売られて金利が上昇したのは想定外だったのではないか。一部では、中国や日本がアメリカ債を売却しているとも言われているが、金利が上がれば住宅や自動車ローンを利用しているトランプ支持者への影響も大きい。相互関税90日間延期の背景には、金利の上昇があり、逆資産効果やローン金利負担の増加があるとみてよさそうだ。

シナリオ3
世界中が不景気になる?

トランプ関税は、アメリカ経済の成長にも大きな影を落としている、と指摘されている。JPモルガンはその確率を60%と予測し、ゴールドマン・サックスも45%と予想。BCAリサーチのピーター・ベレジン氏のように75%と予想している人もいる。アメリカが不景気になれば世界中が不景気になる。今回のトランプ関税が、リーマンショックを上回るものになるのではないかと予想されている根拠とも言えるだろう。

トランプの想定とは真逆の結果に?

シナリオ4
世界が分断、高まる第三次世界大戦への恐怖?

トランプ政権の狙いは、ロシアに擦り寄ってまでも対中国に対する包囲網を強化することとみられるが、保護貿易は逆効果をもたらすかもしれない。アメリカに高い関税をかけられてしまった発展途上国は、活路を見出そうと中国に輸出を増やしていくことになるはずだ。

結果的に中国を利することになり、世界はさらに地政学的に分断することになる。さらに、トランプ政権は、安全保障と貿易収支の問題を一体化させて考えようとしており、そうなれば軍事費のコストの低い中国やロシアに擦り寄る国がさらに増えてくる。トランプの想定とは真逆の結果をもたらすかもしれない。

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