トランプ関税「延期」、いま注目すべき米国株セクター&銘柄群。景気の“軟着陸”期待は維持されている

“トランプ関税”に動きがみられた中、米国株はどのような銘柄に着目すべきか。まずは足元のアメリカ景気の概況を振り返ろう。
一時は関税発動による景気急減速への警戒感が広がったものの、アメリカ政府のTACO(Trump Always Chickens Out=トランプ氏はいつも尻込みする)によって、景気は持ち直しの動きを見せていると考えられる。
差し迫った警戒感は感じられず
FRB(連邦準備制度理事会)は6月公表の経済見通しの中で、2025年の実質GDP成長率をプラス1.4%と予想していたが、7月9日時点のブルームバーグ エコノミスト予想平均はプラス1.5%となっている。緩やかではあるものの、景気見通しは好転しはじめた。重要経済指標もおおむね堅調だ。
6月のアメリカ雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比14.7万人増加し、予想を上回る結果となった。政府部門の雇用増が大きく、民間セクターの伸びが限られたという一面を割り引いたとしても、労働市場の安定は保たれているといえる。
下図では雇用統計の詳細項目である、派遣労働者雇用者数の変化を示している。同統計は、アメリカ労働市場の環境変化を早期に知らせてくれる、いわば“炭鉱のカナリア”と捉えられる。

グラフにあるように、リセッション=景気後退期(後から判断されるためリアルタイムでは判別しづらい)に入ると、同雇用者数が急激に悪化してきたことがわかる。6月は前月比でマイナスとなったものの、過去の景気後退期と比べると落ち着いた推移となっており、現時点ではアメリカ景気に対する差し迫った懸念は見受けられない。
そうした中、市場では再度トランプ政権の関税政策に関心が集まることとなった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら