
イスラエルとイランの対立によって、石油取引業者と海運会社はホルムズ海峡に注視している。同海峡は中東のエネルギー輸出における重要なボトルネックだ。イランによる封鎖は、インフレと石油価格に世界的な影響を及ぼす可能性がある。そして、おそらく最も深刻な影響を受けるのは、ペルシャ湾の石油の主要な輸出先であるアジア太平洋諸国である。
世界の石油と液化天然ガス(LNG)の輸送量の20%がこの水域を通過している。ペルシャ湾の東端に位置するこの地域では、イラク、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)の海上アクセスが脅かされるだけでなく、サウジアラビアの東海岸——ラス・タヌラのような大規模な石油輸出拠点が存在する地域——も影響を受ける可能性がある。
サウジアラビアは紅海沿岸からパイプラインで石油を輸出することも可能だが、このルートはペルシャ湾の施設に比べて容量が劣る。
中国の原油輸入の3分の1以上がホルムズ海峡を経由
中国は世界最大の石油輸入国だ。2008年以降の原油輸入先をチャート化したのが下図だ。ホルムズ海峡を通過する主要な湾岸輸出国(イランを除く)を紫色で、その他の地域を緑色で分類している。中国にとって原油輸入の3分の1以上がホルムズ海峡を通過していることがわかる。
