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覇権国の5つの役割、次の国際危機が訪れたときアメリカはどう動くか/チャールズ P. キンドルバーガー『大不況下の世界 1929-1939』を読む(下)
チャールズ P.キンドルバーガー『大不況下の世界 1929-1939 改訂増補版』石崎昭彦、木村一朗 訳/岩波書店
キンドルバーガーは、恐慌時の国際経済を安定させるために覇権国が果たすべき5つの役割を論じる。アメリカが覇権から降りつつある現在、世界秩序の先行きを考えるうえで有用な論点だ。
覇権国が果たすべき5つの役割
覇権国の第1の役割は、財市場を開放し、余剰生産力を抱える他国の財を吸収することだ。19世紀のイギリスは、世界的な不況時にも自由貿易を堅持し他国の商品を吸収した。しかし大恐慌時、世界最大規模の経済を有したアメリカは、国内産業保護を目的とするスムート・ホーリー法を1930年に可決し他国に高関税を課す。それに対抗すべく各国がブロック経済化を進め世界貿易は急減した。
2025年4月にトランプ関税を受け金融市場が一時大混乱したのは、このような関税合戦が想起されたからだ。
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