
4月23日から24日にかけて開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせて、加藤勝信財務相が24日にベッセント米財務長官と会談を行うとの報道が注目を集めている。
週初からの円相場は、会談でドル安誘導を求められる可能性に加え、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の独立性に対する懸念も高まる中で一段と円高が進行している。
しかし、先週来論じているように、ベッセント財務長官がドル安・円高を希望するような言動は報じられていないし、仮にそれを求めるとしても手段は限定される。日米通貨政策のトップが会談するという事実が先走って捉えられているように思える。
為替が議題となっても、出せるメッセージは限られる
真っ当に考えれば、関税政策が争点化している中で財務相同士が会談すれば、関税と為替の2つが議題に上りやすいだろう。それが両者の所管が重なる部分だからだ。
関税については、それ自体こそ財務省の所管となるものの、財務相の一存で自動車など個別品目の議論に深入りできるのか定かではない。非関税障壁も規制の話であり、財務相の捕捉する範囲と必ずしも重ならないだろう。
その結果、為替が注目論点として浮かび上がるわけだが、実際に言及できることは多くない。今回の会談の注目度が極めて大きいことを踏まえれば「過度な変動は経済に悪影響を与える」、「為替は市場を通じて決まる」といった2点くらいしかメッセージは出せないはずである。
とはいえ、直近の円相場が「過度な変動」状態にあるとは言えないし(どちらかと言えば円高方向に過度である)、「為替は市場を通じて決まる」がファンダメンタルズを映じたフェアバリューに落ち着くという意味だとすれば、貿易赤字かつ実質低金利の円が安いことは特に不思議なことではない。
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