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トランプ政権の為替政策報告書、「円安修正」で注目すべきは日銀利上げより「公的年金運用」…いまや半分が外貨資産の300兆円ポートフォリオ

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年金資産の「円買い戻し」で「家計の円売り」を打ち消せるか(写真:Bloomberg)
*2025年6月13日6:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。

6月5日にアメリカ財務省から半期に1度の為替政策報告書が公表された。

今回、「為替操作国」認定に至った国はなかったものの、「監視リスト」対象国は9カ国となり、前回からはアイルランドやスイスが新たに加えられている。台湾やスイスは3条件すべてに抵触するが、総合判断として「為替操作国」認定は見送りという評価であった。

かたや、中国については1条件しか抵触していないものの、現行の巨大な黒字を踏まえれば、為替介入情報が著しく不透明であるとの問題意識が示され、今後「為替操作国」認定に至る可能性が明記された。

多くの人々は薄々感じている事実だろうが、トランプ政権下における為替政策報告書の意味はこれまでの政権のそれとは異なる。

先に関税で制裁、「何を今さら」

為替政策報告書は本来、その分析を通じて「為替操作国」に認定された場合、二国間交渉を経て通貨政策や貿易慣行の見直しを迫られたり、そこで合意に達することができなければ関税が引き上げられたり、輸出入の制限措置が取られたりすることが想定されるものだ。

つまり、対米貿易において関税や非関税障壁を用いた制裁が予想されるからこそ「為替操作国」認定やその前段階としての「監視リスト」認定が注目されてきたのである。

しかし、為替政策報告書の判断を待たずともトランプ政権はこうした所作が日常茶飯事となっている。その意味で報告書の重要性は明らかに落ちていると言わざるをえない。「何を今さら」というわけだ。

事実、今回示された中国に対する「為替操作国認定」予告は本来、一大事と受け止められても不思議ではないはずだが、報告書公表と同時に行われたトランプ大統領と習近平国家主席の電話会談において、レアアース取引などについて歩み寄りが見られたことのほうが大きな材料として受け止められ、市場には安堵感が広がっている。

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