あいまいな日本の「台湾有事」戦略をかき消した高市首相の軽率発言…中国は日本批判で国際世論づくり、国内世論は威勢のいい発言に「すっきり」
外交の世界には関係国が簡単に合意できない問題について、意図的にはっきりしない表現や意味不明な言葉を使って互いに自分に都合のいい解釈をして対立を回避する手法がある。
いわゆる「あいまい戦略」と呼ばれるもので、最も代表的なケースがアメリカの台湾政策といわれている。
1979年、アメリカのカーター政権は中華人民共和国と国交を結ぶとともに台湾とは断交した。そして「中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府であることを承認」した。
一方で、アメリカの議会は台湾と非公式な関係を維持するとともに台湾の安全保障を目的に「台湾関係法」を成立させ、今日まで武器の供与を続けている。
中国は台湾の統一を目指しているが、アメリカは「台湾の将来は平和的手段によって決定されるべきであり、武力行使や強制的な手段は西太平洋地域の平和と安全に対する脅威だ」としている。だからといって中国が台湾に軍事侵攻したとき米軍が台湾を守るのかという点については、直接的な言及を避けてきた。
抑止力としての「あいまい戦略」
アメリカの対応は明らかに矛盾する内容を含んでいるが、肝心の台湾防衛についてははっきり言わない。これが「あいまい戦略」である。米軍がどう対応するかはっきりしないことで中国は台湾に武力侵攻しにくくなる。
一方で、台湾も独立しようとすれば中国が攻めてくる可能性がある。そのときアメリカが守ってくれるのかどうかわからないから安易に独立に動けなくなる。その結果、軍事的緊張が高まることを抑えることができるというのだ。
ただしアメリカが「あいまい戦略」一辺倒だったわけではない。
96年の第3次台湾海峡危機では空母を台湾近海に派遣し中国の動きを抑えた。ブッシュ大統領(息子)のように「台湾防衛のためにあらゆる手段をとる」などと発言をした大統領もいた。
原則はあいまい戦略だが、状況に応じて台湾防衛に言及するなど硬軟織り交ぜ、中国の動きを抑止してきた。もちろん世界最強の軍事力を持っているからできることである。




















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