ようやく「時代に合った人物を掘り当てた」自民党、「女性初・36年ぶり関西人首相」で日本は変わる?

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(1) アメリカ史上初の女性大統領が誕生していた
バラク・オバマという史上初の黒人大統領に続き、性別という「もう1つの天井」が破られていた。そのチャンスを逃したために、アメリカは2020年代になっても「まだ女性指導者が出ていない国」となっている。
(2) その後の「トランプ現象」が不発になっていた可能性がある
ラストベルトなど「忘れられた人々」の不満は、いずれ何らかの形で爆発していたかもしれず、同じ2016年に英国でBrexit(ブレグジット)があったことを考えれば、早晩、どこかで世界的なポピュリズムの連鎖が始まった可能性は否定できない。それでもトランプ大統領という稀有のトリックスターは誕生しなかっただろうし、アメリカの共和党は長い低迷期を迎えていたのではないか。
(3) 2010年代までの世界的な政策の潮流がさらに長く続いていた
トランプ政権がなければ、アメリカのパリ協定からの離脱はなく、NATO(北大西洋条約機構)内における米欧関係の悪化もなく、関税がこれだけ引き上げられることもなく、グローバリズムが続いていただろう。2020年の世界的なパンデミックへの対応も、かなり変わっていたのではないか。

「ガラスの天井」は破れるときに破っておくべき

思い起こせば、2016年当時の世界は女性指導者が華ざかりであった。ドイツにアンゲラ・メルケル首相(2005~21)がいて、英国ではテリーザ・メイ首相(2016~19)が誕生し、台湾では蔡英文氏が初の女性総統(2016~24)に選ばれ、韓国にはパク・クネ大統領(2013~17)がいたものだ。

日本の場合はこうした潮流からかなり遅れて、2025年になってようやく初の女性首相が誕生したことになる。逆にG7の中でも、アメリカとフランスはまだ女性指導者が誕生していない。やはり大統領制で、直接選挙で国家元首を選ぶ制度は、女性にはやや壁が高いようである。

こうして振り返ってみると、しみじみ感じるのは、「ガラスの天井は破れるときに破っておくべき」ということだ。高市早苗首相の誕生に対して、「彼女は女性を代表していない」的な批判の声をよく聞くけれども、そんなこと言うもんじゃないですよ。ゼロとイチの差は大きいのだから、素直にお祝いしてあげなさいよ、と申し上げたい。

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