イーロン・マスクの慈善団体は2024年にかつてない規模へと成長した。だがこの巨大な財団は、法律が求める最低額の寄付を4年連続で行っていなかった。さらに実行された寄付も、大半がマスク自身と極めてつながりの深い慈善団体に流れていた。
ニューヨーク・タイムズの求めに応じてマスク財団が公開した24年の納税申告書から、こうした事実が明らかになった。
財団の資産額は2兆円超
マスクの財団の資産額は140億ドル(約2兆1000億円)を超え、今やアメリカで最大級の規模を誇る。しかし、自身の非営利団体を通じ幅広い意味での社会・政治活動を行っているほかの富豪たちとは違い、近年のマスクは、自身の営利企業の狭い利益に寄り添うような形だけに財団を利用している。
申告書からは、そうした傾向が24年も続いたことが読みとれる。マスク財団は同年に過去最高となる4億7400万ドルを支出したが、その4分の3を超える3億7000万ドルはマスクの最側近が率いるテキサスの非営利団体に渡っていた。この団体はマスクのビジネス帝国に利益をもたらす存在になっているように見える。というのは、同団体が運営する小学校のある農村地域は、マスクの企業群が集まるエリアに近く、多くの従業員が居住する場所となっているからだ。
マスク財団は、ある慈善基金にも3500万ドルを寄付したが、この基金は今も実質的にマスクの影響下にある。
このようにマスクとつながりの深い団体へ流れた資金の割合は、ニューヨーク・タイムズが分析したところ、24年に20年以降で最も高くなった。
マスク財団が昨年行った寄付の詳細については、ブルームバーグが先に報じている。寄付に関する質問に対し、マスクや財団の広報担当者から回答はなかった。



















