「初の女性首相」誕生は自民党結党以来の伝統的戦術 結党70年「新型の首相」が生まれる時代の共通点

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高市早苗首相 戦後80年の取材証言
2025年10月21日、高市早苗氏が「史上初の女性首相」に就任した(写真:Samsul Said/Bloomberg)
2025年11月15日、自民党は結党70年の節目を迎える。近著『戦後80年の取材証言』を刊行し、戦後政治を追い続けてきた著者が、自民党70年の攻防の視点から「初の女性首相」誕生の背景について解説する。

10月21日、高市早苗氏が石破茂前首相の後任の首相に就任した。それから1週間が過ぎ、メディアによる新政権発足後の内閣支持率調査の結果が判明した。読売新聞71%、朝日新聞68%、共同通信64.4%である。

高支持率でスタートした高市新政権

歴代内閣の発足直後の数字を追うと、読売の調査(1972年7月の田中角栄首相の誕生以後)では、小泉純一郎内閣(2001年)の87.1%、鳩山由紀夫内閣(09年)の75%、菅義偉内閣(20年)の74%、細川護煕内閣(93年)の71.9%の次の第5位、朝日の調査(54年12月の鳩山一郎首相の誕生以後)では、小泉内閣の78%、細川内閣と鳩山由紀夫内閣の71%に続く第4位、共同の調査(91年11月の宮澤喜一内閣の誕生以後)では、小泉内閣の86.3%、細川内閣の75.7%、鳩山由紀夫内閣の72.0%、菅義偉内閣の66.4%、第1次安倍晋三内閣(2006年)の65.0%に次いで第6位という高率であった。

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振り返ると、細川氏は1955年11月の自民党結党後、「初の非自民連立政権」の首相、小泉氏は2001年4月の自民党総裁選を制したとき、「自民党史上、初めて最大派閥の支援を受けない総裁が誕生した」と自らを評したとおり、結党以来の「最大派閥支配」という自民党の構造を打ち破った首相といわれた。

安倍氏は第1次内閣で首相に就任したときの年齢が52歳で、54歳だった田中角栄氏を破って「戦後最年少の首相」の記録を塗り替えた(ちなみに史上最年少は44歳の伊藤博文首相)。鳩山由紀夫氏は細川氏に次ぐ2人目の非自民首相だが、自民党結党後、「衆院選による政権交代を実現した初の首相」として歴史に名前を刻んだ。もう一人、菅義偉氏は同じく自民党結党後、「初の完全無派閥の首相」の登場だった。

この5人に続く高市氏のセールスポイントは、いうまでもなく「史上初の女性首相」である。その点で、歴史的な出来事を成し遂げた開拓者であることは疑いない。

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