「政府債務」より「民間債務」を直視すべき納得理由 インフレは貨幣現象ではない? 高橋是清やMMTにも通じる「負債の逆説」の衝撃

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インフレのイメージ
インフレは貨幣現象ではない? 「負債の経済学」では、主流派経済学とは異なる答えを導き出します(写真:stanciuc/PIXTA)
膨張し続ける負債が深刻な格差や金融危機を招く今、この「毒」をどう制御すべきか。このたび刊行されたリチャード・ヴェイグ著『世界は負債で回っている』は、従来の経済学が軽視してきた「民間債務」と「バランスシート」の視点から、マネーが負債から生まれる仕組みを解明している。本書を評論家の中野剛志氏が読み解く。

マネーは負債から生まれる

本書『世界は負債で回っている』(原題は『The Paradox of Debt(負債の逆説)』)の著者リチャード・ヴェイグは経済学者ではない。ベンチャーキャピタリストであり、実業家であり、2020年から23年まで、ペンシルバニア州銀行・証券局長官を務めた実務家である。

『世界は負債で回っている』
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そのヴェイグが、金融実務とデータを基に、実践的な「負債の経済学」という理論を提唱した。彼の「負債の経済学」は、理論構成も導出される結論も、主流派経済学とはまったく異なる。

「負債の経済学」は、資本主義経済の成長と変動、そして矛盾のメカニズムを鮮やかに描き出している。それは、資本主義の原理論であると言ってもよい。

その理論の出発点にあるのは、「マネーは負債から生まれる」という事実である。マネーから負債が生れるのではない。負債からマネーが生れるのだ。

資本主義経済は、負債の増大がなければ成長しない(マネーは負債から生まれるのだから当然である)。

ただし、その負債(民間債務)の膨張はいずれ崩壊して、経済危機と長期停滞をもたらす。これをヴェイグは、「負債の逆説」と呼んでいる。

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