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田中正明氏(三菱UFJFG元副社長)の証言 第4回/幻の「提携構想」が導いたモルスタへの90億ドル出資

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リーマンショック直後、三菱UFJFGがモルスタへの巨額出資を迅速に決断できた裏に、実現寸前まで進んだ幻の「提携構想」があった。

田中正明(たなか・まさあき)/1953年生まれ。東京大学法学部卒。三菱銀行に入行し、最終ポストは三菱UFJFG副社長。その後、産業革新投資機構社長、日本ペイントHD会長兼社長などを経て、現在はマネーフォワード社外取締役、米日カウンシル評議員会副会長などを務める(撮影:尾形文繁)
国際派、理論家、型破り――。さらには「ケンカまさ」の異名も持ち、金融激動の時代を駆けぬいた田中正明氏の証言を4回に分けてお届けする。

リーマンショック直後の2008年10月。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が米証券大手のモルガン・スタンレーに90億ドル(約9000億円)を出資した。実はその7年前にも、実現寸前まで進んだ幻の「提携構想」があった。

21世紀に入ってから25年ほど経過した。この四半世紀を振り返り、その間の主な出来事や経済社会現象について、当事者たちの声を掘り起こしていく

2000年頃、銀行グループとして本格的な投資銀行業務を展開するためにはどのような戦略をとるべきか、頻繁に議論していた。議論を深める中で、当時のわれわれの実力ではとても本格展開は難しいと判断し、投資銀行業務で実績を上げている海外の大手金融機関とアライアンスを組むことが有効な方向性という結論に至った。

そこで目を付けたのがモルガン・スタンレーだ。研修生を送るなど関係が良好で、後に頭取・社長を務める平野信行さんも研修生の1人だった。担当役員だった現イトーキ会長の山田匡通さんや、企画担当の部長だった私で「ウィッシュボーン」(鳥の鎖骨。英語で幸運の象徴)と名付けたプロジェクトを開始。戦略的な提携構想を練っていった。

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