全銀協会長内定でも残る「貸金庫事件」の余波 降りかかる2つの難題と停滞するグループ人事

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全国銀行協会
全国銀行協会は現実的な期限が差し迫ったギリギリのタイミングで、次期会長に三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取を内定した(撮影・風間仁一郎)

全国銀行協会は2月13日、次期会長に三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取を内定したと発表した。任期は2025年4月から1年間。半沢氏は2022年度も全銀協会長を務めており、今回が2回目。再び銀行界の「顔」として、業界の課題などに対応する。

「ギリギリのタイミングだった」。関係者がこう話すとおり、会長行を交替するうえで現実的な期限が差し迫った中での調整となった。

全銀協の次期会長は従来、就任の前年までに内定する。現在の福留朗裕会長(三井住友銀行頭取)は就任7カ月前、9月の理事会で内定。10月には同行に準備室を立ち上げ、半年かけて会長行の準備を進めた。

会長行は3メガバンクが輪番制で担当しており、3年に1度回ってくる。だが、2025年4月から会長行を担う三菱UFJ銀行で、2024年10月に「貸金庫事件」が表面化。事件への対応が最優先となり、12月発表とみられていた同行を含む三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のトップ人事が見送りに。これに伴い、全銀協も次期会長の内定を出せない事態となっていた。

「貸金庫」に再び脚光

これまで三菱UFJ銀行が会長行を担った時は、年明けの1月に準備室を立ち上げ、2~3月の2カ月間で用意を整えてきた。次期会長を内定する全銀協の理事会は、月1回の開催。3月理事会での内定だと準備が間に合わず、バトンを渡す三井住友銀行の4月人事にも影響が及ぶ。「遅くとも2月理事会で内定を出す必要があった」(関係者)。

1月中旬ごろから貸金庫事件の騒動が沈静化し、無事に半沢氏が全銀協の次期会長に内定したことで一区切りついたかにみえる。だが、会長行のバトンを受け取る三菱UFJ銀行にとっては多難な業務運営になりそうだ。

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