全銀協会長内定でも残る「貸金庫事件」の余波 降りかかる2つの難題と停滞するグループ人事

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FW規制の緩和は銀行界が強く期待するテーマであり、議論の先送りは「業界内から批判を浴びることになる」(同)。かたや直近に法令違反を起こした当事者が議論を主導することになれば、今度は独立系証券などからさまざまな批判が噴出しかねない。

今年度の会長行である三井住友銀行も、グループのSMBC日興証券が2022年にFW規制違反で業務改善命令を受けている。銀証情報共有の不祥事が続けざまに起きたことで、三菱UFJ銀行がFW規制の緩和議論を進めるに当たっては、今年度の重要テーマに設定した三井住友銀行よりも強い「覚悟」が求められる。

狂う「人事」の歯車

今回の内定によって従来の輪番を崩すことなく三菱UFJ銀行が全銀協会長行を引き継げることにはなったが、MUFGや同行のトップ人事は先送りされたままだ。12月発表が濃厚だったトップ人事では、半沢氏がMUFG社長に就任し、三菱UFJ銀行頭取には髙瀬英明常務か大澤正和常務が就任すると目されてきた。

それが半沢氏の社長就任がストップしたことで、その下の人事も発令できなくなっている。髙瀬氏が担っている企画担当ポストには、リテール・デジタル部門を担当する山本忠司常務が就任するとみられてきたが、髙瀬氏が次のポストに動けなければ山本氏を異動させることはできない。当然、山本氏のポストに就任予定だった幹部の人事も見送りになってしまう。

MUFGのトップ人事のタイミングを巡っては、5月ごろに発表して、株主総会での承認を経て交代する可能性が高そうだ。全銀協の理事および会長は、正会員(銀行)だけでなく銀行持ち株会社会員の代表者も就任できるため、期中で半沢氏がMUFG社長となっても全銀協の会長を続けることができる。

だが、貸金庫事件で社内処分を受けた半沢氏を、このタイミングで指名委員会が社長として選ぶ判断は難しい。昨年度の株主総会ではMUFGの亀澤宏規社長の賛成率が銀行業界で最も低い64.58%となった。半沢氏が社長になった場合、トップの支持率のさらなる低下が見込まれるため、指名委員会が慎重になることも考えられる。

MUFGのトップ人事が先送りされれば、戦略面にも影響が出かねない。収束したかに見える貸金庫事件だが、その余波がさまざまなところに及んでいる。

北山 桂 東洋経済 記者

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きたやま かつら / Katsura Kitayama

1975年群馬県生まれ。日本農業新聞や博報堂アイ・スタジオ(コピーライター)、「週刊金融財政事情」編集長などを経て、2024年4月東洋経済新報社入社。

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