全銀協会長内定でも残る「貸金庫事件」の余波 降りかかる2つの難題と停滞するグループ人事
新たに会長行を担うメガバンクは、準備室を立ち上げた後に現会長行から引き継ぎを受ける。新会長行は引き継ぎ内容も踏まえて、担当年度に議論や検討を深める「重要テーマ」を設定する。
![三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/2/c/570/img_2c10719844f93de15be93d98c33bbefa832828.jpg)
つまり次年度の重要テーマは三菱UFJ銀行が設定することになるが、外すことができない1つが「貸金庫ビジネスのあり方」だ。
金融庁でも、有識者を交えてこのテーマを議論する会議体が近く立ち上がる予定で、その取りまとめを受けて、全銀協でも議論を深めることになる。三菱UFJ銀行にとっては葬り去りたい事件だが、皮肉にも自らが主導して「貸金庫」の話題を再燃させることになるわけだ。
もう1つの「ブーメラン」
もう1つ重要テーマの候補となりうるのが、同一グループ内の銀行と証券会社の間の「ファイアウォール(FW)規制」の緩和だ。
FW規制の導入は、銀行による証券業務への参入が解禁された1993年にさかのぼる。弊害防止措置として導入されたが、銀証による情報連携は顧客にもメリットがあることから段階的に緩和されてきた。
2022年には、上場企業や機関投資家等を対象とした「新たなオプトアウト制度」(顧客から共有停止の求めがあるまで非公開情報の銀証共有を認める制度)を導入。さらなる見直しに向けての機運が盛り上がり、2023年6月の「骨太の方針」にもFW規制の緩和の検討が盛り込まれた。
こうした流れを受けて、実は今年度、FW規制の緩和が全銀協の重要テーマとして設定されていた。だが、昨年6月に三菱UFJ銀行とグループ証券2社がFW規制違反により業務改善命令を受けたことで、「議論が完全にストップした」(関係者)。
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