中国人の海外旅行先で「タイの人気に陰り」の事情 誘拐事件で印象低下、ビザ免除の増加も痛手に

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タイは中国人旅行客の誘致に力を入れてきたが、中国人俳優誘拐事件のダメージが尾を引いている(写真はタイ観光庁の中国向けウェブサイトより)

東南アジアのタイを訪れる中国人旅行客が減少している。航空情報アプリの航班管家のデータによれば、中国の航空各社が2025年夏ダイヤの繁忙期(7~8月)に運航を予定しているタイ路線のフライト数は約1万2800便と、前年同期比2割以上も減少した。

中国人旅行客にとって、東南アジアは依然として人気の目的地だ。夏ダイヤの繁忙期のマレーシア路線、シンガポール路線、ベトナム路線、カンボジア路線のフライト数はいずれも前年より増えている。それだけに、タイ旅行の人気低下ぶりがいっそう目立つ。

1~5月は3割超も減少

その裏には、2025年1月に中国人俳優の王星氏が旅行先のタイで誘拐され、ミャンマーの国際詐欺グループの拠点で特殊詐欺への荷担を強いられそうになった事件の影響がある。王氏は無事救出されたものの、海外旅行を計画する中国人の間ではタイの治安に対する不安が高まり、渡航を避ける動きが広がった。

タイ観光・スポーツ省の統計によれば、2025年1月から5月までの期間にタイを訪れた外国人観光客は延べ1436万人と、前年同期より3%減少。そのうち中国人観光客は195万人と前年同期比33%も落ち込み、他国からの観光客に比べて減少が際立っている。

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