「コンビニ市場は飽和なのになぜ」という声もあるが…。セブンが1000店舗も増やす本質理由

セブン&アイHDが2025年8月、「7-Elevenの変革」を打ち出した。その主な内容は、国内では2030年までに約1000店舗を純増し、既存店5000店以上に設備投資を実施。カウンター商品などの強化で日販向上を図る。
一方、北米ではレストラン併設店を1100店に拡大しつつ、1300店を新規出店。オリジナル商品の拡充により日販向上を実現しつつ、ガソリン販売の効率化を進め収益機会を拡大する。また、国内海外ともに即配「セブンNOW」の拡大を進めるという。
これらにより、2030年に営業収益11兆3000億円、EBITDA 1.3兆円(2024年0.9兆円)を目指し、かつてクシュタール社が提案した2600円を上回る株価を実現する、というものである。
飽和したといわれるコンビニを1000店も増やす?
報道における証券アナリストのコメントは、この計画で短期間に市場が劇的に反応するということは難しい、と述べていたが、まさにそのとおりだろう。こうした事業面での地道な底固め、改善を実施しつつも、この計画の軸は、海外コンビニ事業(SEI)を上場させることによって数兆円を資金調達し、セブン&アイHDの自己株買いに充てる、という金融的な措置にあるからだ。
自己株買いとはざっくり言って、企業価値/株数=株価という算式で分母の株数を大幅に減らすのだから、実施期待で株価が上がるのは当たり前、という答えのある算数である。問題は割り算の前の企業価値が事業の成果でどこまで信じてもらえるか、なのであり、それは実現可能性次第であろう。だから、半年、1年で成果を出して、この計画自体が実現可能だと証明せねば、信じてはもらえないのは当然であろう。
ということで、この計画の達成可能性は、と問われれば「今後半年〜1年の推移を見てから」という市場の評価の通りであり、だからこの後も株価にそう大きな変化はなかった。ただ、この計画で注目すべきは、「飽和したとされる国内コンビニ市場で新規1000店舗純増」という計画が前提、という点かもしれない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら