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<筒井義信・経団連会長>官民連携で進めていく戦略投資がカギに――2026年は企業経営者の「資源配分戦略」の真価が問われる年になる

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筒井義信/1954年生まれ。兵庫県出身。京都大学経済学部卒業後、77年日本生命保険入社。総合企画部長などを経て、2011年に社長、18年会長、25年特別顧問、25年5月から日本経済団体連合会会長(撮影:梅谷秀司)

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日本企業が取り組むべき課題は何か。日本経済団体連合会の筒井義信会長に聞いた。

ーーまず出身母体の日本生命保険で起きた不祥事(社員が出向先の金融機関の内部情報を無断で持ち出した問題)についてどう受け止めていますか。

多くのお客様、そして社会に対して、多大なご心配とご迷惑をおかけしたことについては、深くお詫びを申し上げなければならない。

今回の不祥事が発覚するまでに6年もかかった。その間、私自身も含めて経営陣がその問題を検知できなかった。不祥事が起きてしまった場合、あるいはそれを未然に防ぐために重要なことは、悪い情報ほどしっかりと経営上層部に上がってくるような危機管理体制を構築することだ。

内部通報制度など、従業員からの声を受けるシステムを整備することは当然のことだが、従業員が声を上げることへの心理的安全性を確保し、それが会社を良くすることにもつながるんだ、というマインドセットを組織全体で共有していくことが不可欠である。

これから出てくる関税措置の影響

ーー2025年は大きな転換期でした。

私が大学生の頃、社会思想史の教授から「時代は常に転換期である」と聞いた言葉が今でも強く頭に残っている。世の中は、転換していることが常態、ということだ。そのことを踏まえても、25年は飛び切りの大転換期だったと思う。

大転換は、国内と海外の両面で起きた。海外では、アメリカのドナルド・トランプ大統領による関税措置が典型であり、これが世界経済に大きなショックを与えた。より深刻なのは、戦後一貫してアメリカが貢献してきた「自由で開かれた貿易システム」に、当のアメリカ自身が背を向け、「アメリカファースト」の立場から切り込んできたことである。これは、国際経済秩序そのものの1つの大転換だった。

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