世界が混乱した「トランプ関税」が示す戦後秩序の大きな変化、"覇権国"の不在で生じる世界経済の新たな“分断”リスク

「トランプ関税」で景気後退するのか
ーーアメリカ経済は基本的に強いと思いますが、「関税ショック」によって景気後退に入る可能性はありますか。
アメリカは、何とか景気後退を避けられるとみています。理由の一つに、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)がかなり良くなっていることがあります。
ここ数年、経済成長率はだいたい3%ぐらいの下で、2021年から続いた高いインフレが低下していました。一方で、失業率はほぼ横ばい、あるいは若干上がっている。ということは従来、アメリカの潜在成長率は2%弱と言われていましたが、おそらくこの「ベース」は3%ぐらいまで上がっていると思います。
であればトランプ関税の影響で景気が抑制され、1%強のショックが加わっても、2%ぐらいの成長が何とか維持できる。そういった意味では、60%ぐらいの可能性で景気は減速するものの、リセッションは避けられるとみています。
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