世界が混乱した「トランプ関税」が示す戦後秩序の大きな変化、"覇権国"の不在で生じる世界経済の新たな“分断”リスク

世界経済を揺るがす「トランプ関税ショック」(写真:Getty Images)
トランプ政権による相互関税が、戦後の自由貿易体制を脅かしている。“覇権国”がその役割に背を向ける中、グローバルの経済はどう変わっていくのか。BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏に、見通しを聞いた。
※記事の内容は東洋経済の解説動画『トランプ関税の核心 変わる秩序』から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。
撮影・編集:昼間 將太
「トランプ関税」で景気後退するのか
ーーアメリカ経済は基本的に強いと思いますが、「関税ショック」によって景気後退に入る可能性はありますか。
アメリカは、何とか景気後退を避けられるとみています。理由の一つに、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)がかなり良くなっていることがあります。
ここ数年、経済成長率はだいたい3%ぐらいの下で、2021年から続いた高いインフレが低下していました。一方で、失業率はほぼ横ばい、あるいは若干上がっている。ということは従来、アメリカの潜在成長率は2%弱と言われていましたが、おそらくこの「ベース」は3%ぐらいまで上がっていると思います。
であればトランプ関税の影響で景気が抑制され、1%強のショックが加わっても、2%ぐらいの成長が何とか維持できる。そういった意味では、60%ぐらいの可能性で景気は減速するものの、リセッションは避けられるとみています。
トピックボードAD
有料会員限定記事
政治・経済の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら