「私がここで生まれていてもおかしくなかった…」ユニクロ柳井康治氏を動かした《世界最大の難民キャンプ》の現実

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ロヒンギャ 難民キャンプ
大量流入から間もないロヒンギャ難民キャンプ(筆者撮影)

アメリカのトランプ大統領就任から半年、海外援助の大幅削減によって、世界で1億2300万人を超える難民への人道支援は深刻な打撃を受けている。こうした状況下で、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、国連機関と連携して難民支援に力を入れる。

バングラデシュにある「世界最大の難民キャンプ」で実施中の支援事業を取材するとともに、柳井康治取締役にグローバル企業として難民支援に取り組む理由を聞いた。

私はたまたま日本で生まれただけ

「事前に映像を見ていたものの、実際に難民キャンプの光景を目の当たりにして衝撃を受けました」。柳井氏は昨年4月、ミャンマーを追われたイスラム少数民族ロヒンギャ100万人超が暮らす、隣国バングラデシュ南東部コックスバザールの難民キャンプを訪ねた時の印象を振り返った。

ミャンマー西部ラカイン州で2017年8月に起きた無差別の武力弾圧では、推計1万~2万5000人が虐殺され、74万人が国境を越えてコックスバザールに逃れた。それ以前から滞留する難民を含めて、彼らは「超巨大スラム街」とでも呼ぶべきキャンプ群で、国連機関やNGOによる食料配給、保健・医療サービス、「読み書きソロバン」レベルの初等教育など最低限の支援を受けつつ“塩漬け状態”に置かれている。

柳井氏は「私がここで生まれていてもおかしくなかったと、ふと思いました。誰しも生まれる場所は選べないし、私はたまたま日本で生まれただけのこと。自分と同じ年代の男性、娘と同じ年頃の若い女性に会って、この人たちは想像を絶する過酷な経験をしてきたんだろうなと、いろいろなことを考えさせられました」と話す。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事