国境地帯で見たミャンマー避難民支援活動。アメリカ政府の援助が途切れ、苦境に陥る医療。日本がつなぐ教育支援

2025年1月、再び政権を握ったトランプ大統領の方針により、アメリカ国際開発局(USAID)が解体に追い込まれた。これにより、長年にわたって開発途上国への医療・教育・人道支援を行ってきたアメリカからの支援の多くがストップした。
ミャンマーでも、軍政下で十分な行政サービスを受けられない少数民族地域や軍事クーデター後の混乱で崩壊した地域医療に対し、USAIDは大きな役割を果たしていた。現地ではいったい何が起きているのか。
アメリカの支援打ち切りで、医療活動を縮小
「以前やっていた医療支援のうち1割程度しか継続できていない。それが正直な実感です」
そう語るのは、ミャンマー人でEHSSG(Ethnic Health System Strengthening Group)の所長ソーターウェン氏(下写真の人物)だ。EHSSGはメーソットで2015年に発足した医療支援団体で、主にカレン州、シャン州、カヤー州などミャンマー東部を中心に医療・保健サービスの指導・提供を行ってきた。

だが、USAIDの解体により資金の大部分が途絶え、支援体制は深刻な打撃を受けている。「スタッフの削減をせざるをえませんでした。以前は10人だったのを5人で回さないといけないケースもあります」(ソーターウェン氏)。
そしてソーターウェン氏が、「これが一番深刻だ」としたのが、重篤な患者を救うことができないという問題だった。
「重篤な患者や難産の妊婦は、本来大きな病院に搬送しなければならない。それを諦めなければならないケースも増加しています」(ソーターウェン氏)
彼の言葉は重く、悔しさがにじんでいた。
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