国境地帯で見たミャンマー避難民支援活動。アメリカ政府の援助が途切れ、苦境に陥る医療。日本がつなぐ教育支援

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「子どもたちには音楽への関心は持ち続けてほしい。それは困難な状況の中でも必ず希望につながるものだから」

鍵盤が欠けたベルリラ(提供:JAM)

ノウブレイワーポー氏はそう話したが、実はそこにも課題がある。マーチングバンド用の鉄琴「ベルリラ」は鍵盤が欠け、修理もままならない。メトロノームすらなく、手作業でテンポを取るなど、道具の不足は深刻だ。また、生徒数に対して楽器の数が足りず、全員が演奏に参加できないという問題もある。

「楽器は、こちらではとても高価です。日本で使わなくなった楽器を送っていただければ、大きな助けになります」

そう話すのは、タイ・ミャンマー国境で医療難民の支援を続ける日本のNGO「メータオ・クリニック支援の会」(JAM)のスタッフの沢辺美弥氏だ。

楽器は人の心を支えるツール

JAMは、タイとミャンマーの国境地帯で30年以上にわたって医療活動にたずさわっているメータオ・クリニックと協力して2008年から現地にスタッフを派遣している。そうした支援に加えて、ミャンマー人学校の保健や教育、そしてこうした文化活動の支援も行っている。2010年から継続的に楽器支援を続け、これまでに60台の鍵盤ハーモニカを寄贈してきた。

「ミャンマー人学校での演奏だけではなく、クリニックの患者たちのメンタルケアにも楽器を活用できる。楽器は人の心を支えるツールになる。私たちはそう信じています」(沢辺氏)

楽器の寄付を呼びかけるCDCとJAMのスタッフ(撮影:筆者)

音楽は祖国を追われ傷ついた心に寄り添い、時には人と人をつなげる力を持っている。家に眠っている楽器が、誰かにとってはかけがえのない“人生の相棒”になるかもしれない。


【楽器の寄付・支援の問い合わせ先】
メータオ・クリニック支援の会(JAM)
公式ホームページ:https://japanmaetao.org/
 現在、特に不足している楽器は、鍵盤ハーモニカ、ベルリラ、トランペット、シンバル、メトロノーム。その他の楽器の寄付や相談も受け付けている。

武馬 怜子 報道写真家

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ぶま れいこ / Reiko Buma

フリーの報道写真家。原発事故後の福島県双葉町、ミャンマー、ウクライナなど世界各地を取材。さまざまな媒体で写真、記事を出している。著書にデジタル写真集『インパール作戦 弓兵団の軌跡』『Dance of Manipur まだ見ぬインド、マニプール州』『野馬、還る~福島~』(PAD BOOKS)。上野彦馬賞入賞。ホームページ https://www.reiko-buma.com/

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