
連載第6回は、小さな話をことさら大きく見せたがる企業の末路についてお話をしたいと思います。
「鈴木くん、今度◯◯社と大きな戦略的パートナーシップを結ぶ、ということで記者会見をやろうと思うんだが、どうかね」
筆者がこれまで複数の会社で広報を続けてきた中で、経営幹部からこのような相談を何度となく受けたことがあります。そして、そのいずれも実際にはそれほど戦略的でもなく、単なる販売代理店契約など、ごくありきたりな内容だったように記憶しています。誤解を恐れずにいうと、注目度を上げたいがために一発ハッタリをかましてメディアに取り上げてもらおうという、ちょっと虫のいいアイデアなわけです。
「戦略的提携」だけでなく、「革新的な新製品発表」でも同じようなことがあります。今年度の新製品はどうもパッとしない。カタログスペックの中をじっくり読まないと昨年モデルとの違いが社員でもわかりにくい。そんな苦しい新製品でも、なんとかして話題を作り、販売増へ向けた弾みをつけたいわけです。そこでマスコミを集めて派手な記者会見をおこなおう、というアイデアがでてくるのです。
マスコミ露出を獲得できれば「勝ち」
「戦略的提携」や「革新的な新製品発表」といったアイデアは、今どきの言葉を使うと「広報ハック」とでも言うべきでしょうか。情報の出し方を工夫をすることによって、小さな話題を大きく見せることを狙うわけです。首尾よくいけば、マスコミ露出を獲得できるので、「勝ち」といえます。もし露出が獲得できなくても、特にマイナスの要素があるとも思えないので、だったらやっちゃおうとなりがちです。
しかし、果たして本当にマイナスはないのでしょうか。こうした広報ハックの術に溺れた企業の末路は、その後、どうなるのでしょうか。
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