
谷崎潤一郎『文章読本』中公文庫
本を読むとき、いいなと思うフレーズがあれば、すかさず鉛筆を持ち出して線を引く。谷崎潤一郎の『文章読本』は、そんな私の愛読書の1つだ。文庫本がボロボロになるほど何度も読み返している。それでも、表紙をめくるたびに、必ず鉛筆を握り締めたくなるのだ。
どのパートも読み応え抜群だが、「文章の要素」と題される第3章はとくに発見が多くて、今や余白がなくなるほど書き込んでいる。
谷崎流プロの推敲術
その章において、谷崎は重要だと思われる6つの要素──つまり用語、調子、文体、体裁、品格、含蓄──を取り上げて1つずつ丁寧かつ細かく説明していく。
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