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ロシアとウクライナが交戦状態に入ったのは、2022年2月24日のことである。両国の戦争は、年明けで4年目に突入する。近代において4年間も続いた戦争は、極めて珍しい。この戦争を通じて、とりわけロシアが何を具体的な果実として本当に求めているのか、デッドラインが何なのかが読みにくいことが、停戦に至らない最大の理由だろう。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、停戦を仲介しようとするアメリカのドナルド・トランプ大統領に対して、その条件にドネツク州の割譲を要求したと報じられている。一方、プーチン大統領の真の狙いはウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないと明言することにあるという見方もある。ロシアの目的はまだ見えにくい。
他方で経済面に目を向けると、継戦能力という点に鑑みれば、状況は明らかにウクライナに不利である。もともとロシアとウクライナの国力には著しい差があるのだから、ウクライナのほうが先に継戦能力が低下するのは当然と言える。
国土破壊でウクライナの生産は低下
戦争開始後の両国の差を端的に示す経済指標として、鉱工業生産がある。ウクライナ側が侵攻で国土を破壊されたため、両国の鉱工業生産の動きは、実に対極的である。

すなわち、開戦前の2021年を100とする指数で鉱工業生産の水準を確認すると、ロシアの生産水準はこの間に10%程度切り上がっているが、対してウクライナの水準は30%程度も切り下がったままである。それにロシアは2025年に入って生産が横ばいとなるが、ウクライナは2024年から横ばいであり、生産の回復の遅れが顕著である。
戦争に伴い、双方とも軍事ケインズ効果、つまり軍需の膨張に伴う生産への底上げ効果が生じている。にもかかわらず、両国の生産の水準は対極的である。このことが端的に表すように、ロシアのほうがウクライナよりも経済的な続戦能力は高い。
もともとGDP(国内総生産)の規模が10倍以上も違うのだから、ロシアが有利なことは初めから明らかだ。





















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