2022年のロシア経済は前年比2.1%減のマイナス成長にとどまりました。この「堅調」ぶりは何を意味するのでしょうか。
ロシア連邦統計局の発表によると、ロシアの2022年の実質経済成長率は前年比2.1%減と、2020年(同2.7%減)以来のマイナス成長になった。この数値を評して、ウクライナ侵攻に伴い欧米を中心とする主要国から経済・金融制裁を科されているにもかかわらず、ロシアの経済は堅強であるとの見方が一部で広がっている。
当初、ロシアの成長率が2桁台のマイナスとなるとの見方がなされたことも、ロシアの経済が意外に堅強であるという評価につながっていると考えられる。言い換えれば、それは、主要国から科された経済・金融制裁の効果は限定的だ、という評価でもある。はたしてこうした見方は正しいのだろうか、以下、考えてみたい。
マイナス2.1%をどう読み解くか
もちろん、ロシアが発表している数値にどの程度の信頼が置けるか、定かではない。とはいえ、この前年比2.1%減という数字が正しいという前提で議論を進めたい。ウクライナ侵攻の前年に当たる2021年のロシアの実質経済成長率は同4.7%増と、コロナショックを受けて景気が腰折れした2020年(同2.7%減)の反動で、堅調だった。
2021年といえば、各国とも2020年の反動を受けて高成長を記録した年である。したがって2022年に成長率が低下することは、当然の帰結だった。米国の成長率は前年比5.9%増から同2.1%増に低下し、欧州連合(EU)の成長率は同5.4%増から同3.5%増へ低下した。成長率は低下したが、プラス成長を維持している点が重要である。
しかしロシアの場合、2022年の成長率は前年比2.1%減とマイナス成長に転じている。つまり、世界経済が拡大局面にある中で、ロシアは縮小を余儀なくされたことになる。2桁減という当初の予測も行き過ぎであるのと同様に、2.1%減という数字をもってロシアの経済が堅強であるという評価もまた、行き過ぎた見方だろう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら