
7月22日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は日本との関税協議が合意に達したと発表した。当初、追加関税は24%(ベースライン関税10%+上乗せ部分14%)とされ、さらに7月初頭にはそれが25%に引き上げられたが、最終的に15%での妥結となった。合わせて争点となっていた自動車に関しても、25%から15%へ関税が引き下げられた。
傍若無人なトランプ大統領のことだから、いつ何時、新たな関税をチラつかせてくるかはわからない。しかし、これで当面、トランプ関税に関して、日本は気を揉まずに済みそうなムードとなっている。一方、日本国債の信用力が改めて問われる事態となっている。つまり、参院選の争点だった消費減税の是非が、市場で問われ始めてきたわけだ。
消費減税に警鐘を鳴らす米ムーディーズ
参院選では野党が軒並み、消費減税を掲げた。財政規律に重きを置く与党が歴史的な敗北を喫し、石破茂首相の早期辞任観測も高まる中で、次期政権が支持率回復のために消費減税に踏み込むのではないかと、市場は注視している。こうした中で、消費減税にいち早く警鐘を鳴らしているのが、アメリカのムーディーズに代表される、大手の格付け会社だ。
ロイター通信の報道によると、ムーディーズは7月22日、消費減税が実施された場合、日本の国債格付けへの影響は、減税の「範囲と規模、持続性」次第との見方を示したようだ。曖昧な表現であり、どのような条件であれば格下げに当たるのかはわからない。とはいえ、消費減税が日本国債の格下げにつながる動きであることは確かである。
ムーディーズの場合、日本の格付けは上から5番目のA1となっている。いわゆるG7(先進7カ国)の中では、イタリアに次いで低い。主要格付け会社が日本国債の格付けをあと2~3ノッチ引き下げれば、投資適格級ギリギリのトリプルB格(ムーディーズの場合はBaa)になる。この場合、海外勢が日本国債を売却して、金利が急騰することが懸念される。
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