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「ドル不安」で受け皿通貨になったユーロの強み、対照的に後退する円とバラマキ一色の日本政治の暗澹

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トランプ大統領のハチャメチャな政策によって通貨ユーロへの投資家のシフトが進んでいる。写真はドイツのECB本部にあるユーロ像(写真:Bloomberg)
※本記事は2025年5月4日7:00まで無料会員は全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

ユーロ相場が堅調だ。4月1日時点の終値で1ユーロ=1.0793ドルだったが、4月21日には1.1513ドルまでユーロ高が進んだ。わずか20日の間に、ユーロの対ドル相場は6.7%も上昇したことになる。その後は1ユーロ=1.14ドル前後で推移しているが、近いうちに1.2ドル台までユーロが上昇するという見方も広がりつつあるようだ。

一方で円相場はというと、4月1日時点の終値で1ドル=149.61円だったが、21日には140.85円と、こちらも6.2%上昇した。この間、ユーロの対円相場は1ユーロ=162円前後で横ばいとなっており、円とユーロがドルに対して等しく値を上げていることがわかる。しかし、ドル不安の真の受け皿となっている通貨は、ユーロと言えよう。

トランプ「失政」でドルの信用力が低下

欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行うエコノミストによるリポート

今般のドル不安は、ドルの信用力の源泉であるアメリカ国債の信用力が低下したことで生じている。ドナルド・トランプ大統領による傍若無人な経済運営に、投資家が厳しい評価を与えたわけだ。強弁を張っていたトランプ大統領だったが、アメリカから巨額の資金が逃避している様子を目の当たりにして、軌道を修正せざるをえなくなった。

その実、トランプ大統領は、事態をよく理解していない可能性が意識される。トランプ大統領は巨額の資本流出が生じても、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長に解雇をチラつかせ、利下げを迫った。実務家出身のスコット・ベッセント財務長官の進言でトーンを下げたようだが、状況を理解していればこの騒動を起こすこともなかっただろう。

トランプ大統領や、その経済政策ブレーンであるピーター・ナバロ氏やスティーブン・ミラン氏らは、アメリカ国債の信用力や透明性を著しく棄損した。その結果、投資家はアメリカ国債に代わる安全資産を探し、行きついた先がドイツやフランス、イタリアの国債だった。そうしたユーロ圏の国債は、日本よりも信用力を高めている。

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