トランプラリーで債券価格が下落。経済状況の変化に伴って本格的に警戒すべき局面が近づいている。
2016年もそうだったが、「トランプラリー」は米国株やドル相場ではラリー=価格上昇となったものの、アメリカ国債券市場では金利上昇=価格下落の動きとなった。
トランプ政権が誕生すると、より積極的な財政拡張策を取ることが予想されており、それは株価やドルの上昇を連想させる一方、債券価格の下落材料になると一般的には理解されている。そして、債券価格の下落、すなわち長期金利の上昇は、「放漫な財政政策への警鐘」という意味で、しばしば「債券自警団」という言い方がされる。
しかし、今回のアメリカ大統領選挙後のアメリカ10年債金利の上昇幅は0.2~0.3%程度のものであり、アメリカ国債のボラティリティー(変動幅)を考えれば、大した動きではない。当然、この程度の金利上昇が財政政策の決定に影響を及ぼすこともない。
「債券自警団」が機能しなかったワケ
そもそも、アメリカにおいて長期金利の上昇が財政運営に影響を及ぼすことが過去にあったのかというと、少なくとも今世紀に入ってからはほぼなかったといってよいだろう。それは、政策当局が市場の動きを無視していたということではなく、実際に長期金利のそれほどインパクトのある上昇が財政政策への懸念をきっかけにして起こったことがないのである。
実は、政府債務拡大のフロントランナーともいえる日本においても、「債券自警団」という用語こそ使われていなかったが、バブル崩壊後の1990年代以降、政府債務の拡大が長期金利を急上昇させるという予想が市場でしばしば浮上した。しかし、そのたびに予想は裏切られてきた。
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