与党と国民民主党との協議で決定したエネルギー補助金の延長・再開。そこには4つの問題がある。
10月の衆議院議員選挙で与党が大敗したことを受け、政府・与党の政策決定には野党、とくにキャスティングボートを握る国民民主党との調整が必要不可欠となっている。その結果、国民の意見が政策により反映されるというプラス面が期待される一方、政策決定のスピードが低下するという課題も生じている。
与党と国民民主党との政策協議で最初の試金石となったのは、総合経済対策の策定だ。国民民主党が強く求める「103万円の壁」対策を盛り込むことで、両者は合意した。
これ以外に、政府は①住民税非課税世帯に1世帯当たり3万円を目安に給付し、子育て世帯には子ども1人当たり2万円を加算すること、②10月末で終了した電気・ガス代の補助制度を来年1月に再開して3月まで継続すること、③年内を期限としていたガソリン補助金を来年3月まで延長すること、という3つの施策を経済対策で実施する。
これらの施策を「物価高の打撃を大きく受ける生活者の支援策」と捉える場合、それぞれの政策には明らかに重複感がある。低所得者に対して十分な給付金を支給するのであれば、電気・ガスおよびガソリンへの補助金は必要ないのではないか。国民民主党が主張する「103万円の壁」対策において、所得税の基礎控除などの引き上げが年末の税制改正議論の中で最終決定される方向だが、それも重複した政策となるだろう。
政策の重複が生じるメカニズム
政策の目的を明確にし、その目的に沿って必要十分な政策を効率的に打ち出す姿勢を徹底すれば、このような重複は生じないはずである。精査が十分になされず、安易に物価高対策が繰り返されている状況はまさに「ばらまき」であり、大いに問題だ。
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