アベノミクスとの違いは「財政に関する矢」の方向性。そこから日本が今後打つべき策が見えてくる。
ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領から次の財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏は、アベノミクスの「3本の矢」に倣って、3つの政策目標を掲げている。具体的には、①財政赤字をGDP(国内総生産)比で3%まで削減することを目指す、②規制緩和を通じて実質GDP成長率を3%に引き上げる、③原油生産を1日当たり300万バレル増やす、というものだ。
アベノミクスの「3本の矢」は1本目が大胆な金融緩和政策、2本目が機動的な財政政策、そして3本目が民間投資を喚起する成長戦略だった。民間主導の成長を喚起するという意味で、日本版の3本目の矢とアメリカ版の2本目の矢は発想は同じだ。しかし、財政に関する日本版の2本目の矢とアメリカ版の1本目の矢は正反対の方向を向いている。
トランプ政権が見据える「壮大な世界経済の再編」
ベッセント氏の「3本の矢」の背景にあるのは、同氏が今後数年間で起きると考えている「壮大な世界経済の再編」である。それに備えるために必要な政策が、前述の3つの政策というわけだ。
1つ目の財政赤字削減に関しては、リセッション(景気後退)でもない現在のような平時に、いたずらに歳出を膨らませて財政赤字を拡大しては、国家防衛を迫られた際に対処しにくくなるため、戦争などの危機が起きたときに備えて歳出余地を残しておかなければならないと考えているようだ。
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