「積極財政派」「財政再建派」2つの提言
自由民主党には、積極財政派の財政政策検討本部(本部長・西田昌司参院議員)と財政再建派の財政健全化推進本部(本部長・古川禎久元法相)とが存在し、それぞれが岸田文雄首相に提言書を提出した。
同じ政党内で、財政政策に関し、対照的な提言が行われるというのは、実に興味深い。議論もせずに見解を統一させるよりも、自由な論争を続けることのほうが重要であり、それこそが自由民主政治のあるべき姿であろう。
もっとも、政府の財政制度等審議会(財政審)や経済財政諮問会議の民間議員の提言は、自民党とは異なり、一枚岩になって、財政再建派のほうに与している。
例えば、財政審は、建議「我が国の財政運営の進むべき方向」の中で、こう述べている。
これに対して、自民党の財政政策検討本部の提言は、プライマリーバランス黒字化目標に「断固反対」だとして、財政審の建議と真っ向から対立している。
しかし、この提言を実際に読みもせず、「政治家によるバラマキの要求」などと侮ってはならない。というのも、そこに書かれているのは、簡潔だが、驚くほどレベルの高い理論的な内容だからだ。
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