化石燃料への投資にアクセルを踏んだとしても、エネルギー価格の下落は期待薄。その理由とは──。

米国内のシェールガス掘削施設。トランプ政権が再始動すれば開発に拍車がかかるとされている (写真:AP/アフロ)
ドナルド・トランプ氏の新政権発足が近づいてきた。「Drill , baby , drill !(掘って掘って掘りまくれ!)」のスローガンが象徴するように、新政権の下ではアメリカ内での石油・ガス生産の拡大や環境規制の緩和、輸出の促進が急激に進む雰囲気だ。
関連する主要閣僚人事も発表されている。エネルギー長官にはシェール採掘企業を経営するクリス・ライト氏が、内務長官にはシェール産業で栄えるノースダコタ州のダグ・バーガム知事がそれぞれ指名された。両氏とも筋金入りの石油・ガスの上流開発推進派の人物である。
興味深いのは、新設される国家エネルギー評議会の議長を、エネルギー長官ではなく、連邦公有地を所管する内務長官に兼務させる点だ。上流開発を増やすには連邦公有地のリース条件を緩和する必要があり、まさに前出のスローガンを実践するための布陣といえる。
しかし、トランプ氏の思惑どおり、化石燃料の供給が増え、すぐに価格が下がるというわけではなさそうだ。
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