10年ぶり利回り「個人向け国債」は買える水準か? 株や預貯金と比較、購入時の注意点とは
日本の長期金利が上がっている。指標とされる10年物国債利回りは、直近で0.75%ほどとなっており、これはおよそ10年ぶりの水準だ(下グラフ参照)。その背景を一言でいえばインフレ率が上昇しているからだ。
(※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
インフレはモノやサービスの値段が上がることであるが、裏を返せばおカネの価値が下がることを意味する。誰かに100円を貸して何年後かに100円が戻ってくるとして、インフレになっていたら同じ100円の価値が下がってしまうので、その分を金利でカバーしなければならない。
ちなみに、長期金利は主に債券市場という市場での取引でその水準が形成されていく。いわゆる“市場金利”と呼ばれるものの一種だ。したがって、債券市場への参加者の将来的なインフレ予想が高まると、長期金利も上がってくる。
ただし日本では、そうしたことに加えて、金融政策を担う日銀がこの長期金利に誘導目標を設定している。これをイールドカーブコントロール(YCC)政策と呼んでいて、先進国ではやや異例の政策である。この誘導目標の上限が、当初は0.25%だったものが、昨年以降徐々に引き上げられ、現在は1%になっている。
こうして、市場でのインフレ予想の高まりと、長期金利誘導目標の上限引き上げによって、長期金利は上昇してきた(さらにいえば、先進国の長期金利はアメリカを先導役に連動する傾向が強く、アメリカの長期金利が上昇していることも大きな背景のひとつとなっている)。
国債投資は安全資産の有力選択肢に浮上
さて、このような長期金利の上昇は、個人投資家にとってどのような意味合いがあるのだろうか。まず、0.75%の利回りは、源泉税が引かれたあとの手取りではおよそ0.6%となり、100万円を投資したら年6000円くらいである。これを大きいと見るか、小さいと見るかは、比較対象を何にするかで異なる。
たとえば、大きく資産を増やそうとするならば、株などである程度のリスクをとって投資する必要がある。株価指数に連動する投資信託なら年間で10%や20%の上昇は普通に起こりうることであり、それに比べると0.75%(手取り0.6%)はいかにも小さい。ただし、国債のリスクは株式よりもはるかに小さいので、基本的には別物である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら