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債務超過国である日本の国債を一体誰が買うのか 日銀の国債購入減額で、買い支えの構図に変化

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日銀が国債買い入れを減額。インフレの高止まりが予想される中、買い支えの構造も変わる。

日銀の政策が正常化していくにつれ、日本が抱える課題も目立っていく (撮影:今井康一)

本稿を執筆している時点では、日本銀行がどの程度の国債購入額の減額を決めるのかはわかっていないが、おそらく相応の額の減額を決めているのだろう。よく知られているとおり、日本の国債残高はGDPの約2倍もあり、先進国の中では断トツに多い。

さらにその半分以上を日銀が保有している。中央銀行がこれほど多額の国債を保有するのは、資本主義経済としてはやや異常な状態であり、こうした状況から少しずつ脱却して正常な状態に戻ろうというのが今回の動きだ。

2023年度末の普通国債の残高は1054兆円となっており、その半分以上の587兆円(2024年7月20日時点)を日銀が保有している。時折、政府と日銀は一体であるため、政府が国債を大量に発行しても、日銀が買っているから問題ないという議論も見かける。

国民が金利を支払う構造に

だが、日銀が資産として保有している国債の反対側、つまり負債側にあるのは544兆円の当座預金だ。これは民間銀行が日銀に預けている預金であり、民間銀行の資産だ。その反対側、つまり民間銀行の負債側にあるのは、1729兆円の預金で、そのうち1350兆円は民間企業と家計の預金となっている。つまり、民間銀行と日銀を通してではあるが、国債を本当に買っているのは民間企業と家計であるといえる。

執筆時点では日銀が7月末の会合で利上げを行ったかどうかも不明だが、いずれにしても今後政策金利を引き上げ、金利が発生する世界になると、日銀は負債側にある当座預金へ金利を支払うために、資産側にある長期金利の上昇を必要とする。長期金利が上昇しないまま、大幅に政策金利を引き上げれば、日銀は赤字になる。

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