環境対策、それも脱炭素化政策に対しては、その行きすぎが意識され、グローバルな揺り戻しが生じている。脱炭素化の牽引役を自負してきたヨーロッパ勢、特に欧州連合(EU)でさえ、執行部局である欧州委員会が示した次期中期予算(2028~2034年の7年間が対象)において、脱炭素化政策に関する資金配分を弱めているところである。
環境保全と経済成長の両立を図ることは、2019年12月に就任したウルズラ・フォンデアライエン委員長の悲願であった。そして、いわゆる「ブリュッセル効果」(EUの規制を世界市場の規範とさせる効果)を発動し、グローバルなルールメーカーとして躍進しようとしたわけだが、この野心は不発に終わった。それだけではなく、EU経済の国際競争力をも大きく毀損させる結果となってしまった。
環境重視を諦めないECBのラガルド総裁
しかしながら、欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、まだ環境対策を重視しているようだ。ECBが7月29日に発表したプレスリリースによると、ECBは2026年下半期に、銀行との資金の貸借に際して、銀行がその担保として環境に配慮した企業が発行した社債や株式などを用いる場合、その価値を引き上げるという。

銀行からすれば、環境対策へ積極的に取り組んでいる企業の社債や株式を積極的に購入したほうが、ECBとの資金の貸借において、より評価が高い担保を差し出すことができ、有利となる。したがって、銀行はそうした企業に積極的な投融資を行うことが期待される。このような間接的な経路を通じて、ECBは企業の環境対策を促すそうとする。
かねてECBのラガルド総裁は、中銀も金融政策で環境対策に資するべきだという考えを示してきた。そして、いわゆる環境債(グリーンボンド)をオペの適格担保に加えるなど、フォンデアライエン委員長と共に環境対策に取り組んできた。足元では、欧州委員会はその姿勢を修正しているのだが、ECBは引き続き環境金融を重視するようだ。
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