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「ADB総裁」は反攻の橋頭堡か、落日・日本の肖像か 1966年の設立以来、日本人が総裁ポストを握る

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神田眞人前財務官が当選したアジア開銀総裁選。グローバルサウスが台頭する中、ポスト確保の意味が問われる。

アジア開発銀行の次期総裁に選出された神田眞人前財務官。写真は7月のG20財務相・中央銀行総裁会議で撮影 (写真:時事)

米大統領に異端のトランプが返り咲き、中国やロシア、インドは既存の秩序や価値観に真っ向から挑戦してくる──。2020年代後半に向け世界は激動の予感だ。

そんなとき、「世界の中の日本」を考えさせられる選挙が行われた。前財務官の神田眞人が立候補したアジア開発銀行(ADB)総裁選だ。対抗馬が現れなかったため、神田が当選した。

地域金融機関として途上国のインフラ整備などに融資をしてきたADBは1966年設立。アジアでの存在感は顕著で、2013~2020年に総裁を務めた中尾武彦はこう話す。「ADBは資金と経験と知識を持っている。気候変動やジェンダーという新しい分野の業務に関しても、途上国に対しては融資とアドバイスというチャンネルを通じて意義のある貢献ができている」。

ADBの歴代総裁はすべて日本人

ただ、初代の渡辺武を含め現在まで10人の総裁はすべて日本人だ。しかも1人を除いて大蔵省(現財務省)出身者。財務省関係者は「中国出身者になるのにはインドが反対する。日本が総裁を出してうまく回っているのだからいいのではないか。財務官経験者は各国の高官たちを知っている。国際的な仕事の作法や流儀もわかっているし、慣れている」と弁明する。

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