
4月にトランプ関税が発動され、その世界的な影響が徐々に顕在化してきたようだ。ヨーロッパの場合、トランプ関税の影響が直撃する製造業の中心地はドイツである。そのドイツの製造業生産は、年明け1〜3月期に急増したものの、4〜6月期には反落して、急増前の水準まで戻ってしまった。対して、日本の製造業生産は底堅く、実に対照的である。


日本と対照的なドイツ製造業の落ち込み
ドイツと日本のリーディングインダストリーは、自動車工業である。上図で確認できるようにその自動車工業に関して、1〜3月期の急増の反動減が4〜6月期に強く出ているのは、ドイツではなく日本である。言い換えれば、日本の場合、トランプ関税発動後の自動車工業の減産圧力を他の工業が吸収するかたちで、製造業は増産基調を維持することができたわけだ。
逆を言えば、ドイツの場合、自動車工業は踏ん張ったものの、他の工業が大きく沈んでしまったわけである。ドイツと日本を比較した場合、4〜6月期に関しては、トランプ関税の影響はドイツのほうが強く出たと評価できる。趨勢的にも厳しい状況が続いたドイツの製造業だが、トランプ関税はさらなる打撃となった。
ドイツの製造業の構造的不振は、長引くコスト高にある。特に人件費高とエネルギー高は深刻で、その是正をうたって当選したはずのフリードリヒ・メルツ現首相も、確たる処方箋を用意できていない。自動車と並ぶドイツ製造業の両翼だった化学工業に至っては、ガス価格の高止まりを受けて、それこそ青息吐息の状況が続いている。
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