ロシア中央銀行が進めている利下げのテンポが実にスローだ。実はこの点に、ロシア経済が抱える困難が集約されている。
ロシア中銀は9月15日、政策金利(キーレート)を1%ポイント引き下げ、17%とした。これでロシア中銀は3会合連続で利下げを進めたが、この間に政策金利は21%から17%とわずか4%ポイントしか下がっていない。
ロシアの実質的な政策金利は歴史的高水準
一般的に、中銀は政策金利の水準を、インフレ、それも消費者物価の前年比の水準との見合いで決定する。そして、両者の間にはそれほど差がないものだが、今のロシアの場合、政策金利と消費者物価の前年比の水準に大きな隔たりが存在する。つまり、ロシアの実質ベースでの政策金利は、依然として歴史的高水準にあるわけだ。

そもそもの疑問として、ロシア中銀はなぜ、実質ベースでの政策金利(政策金利−インフレ率)を高水準に設定しているのだろうか。1つの可能性として、消費者物価統計の内容がインフレの実勢を反映していないことが意識される。そもそも消費者物価とは、さまざまなモノやサービスの価格の水準を調査し、ウェイト付けしてインデックス化したものである。
インフレの実勢を正確に把握するため、ウェイトは定期的に見直しがなされる。インフレが急加速する局面だと、消費者物価の内容と生活実感にズレが生じるのはこのためだ。モノやサービスによって物価の上昇ピッチが異なるからだが、それ以外にも、経済の構造(支出されるモノ・サービスの構成)が大きく変わっているにもかかわらずウェイトが更新されなければ、統計と実勢は乖離する。
ロシアでは毎年、消費者物価のウェイトが更新される。ただし、この間にロシアで進んだ軍事経済化に鑑みれば、こうしたウェイトの変更がロシア経済の構造変化をどれだけ反映できているか、よくわからない。いずれにせよ、中銀はよりインフレの実勢を統計の内容よりも強いと認識しているからこそ、利下げには慎重なのだと考えられる。
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