イギリスの与党・労働党は、国民の痛みをよそ目に、いわゆる「大きな政府」路線を突き進んでいる。
リーヴス財務相が増税を示唆
9月29日に開催された労働党大会で演説したレイチェル・リーヴス財務相は、11月26日に発表する秋季予算案で、増税に踏み切る可能性を示唆した。公的債務を削減するとともに、高福祉政策を推進するためには必要な手段だという。
ここで、イギリスの公的債務の水準を確認してみたい。イギリスの公的債務残高は、2025年6月時点での名目GDP(国内総生産)の102.1%となっている。コロナショックに伴う財政出動があった2020年の105.8%からは規模が縮小しているが、2022年の99.6%を底に、このままだと3年連続での拡大は免れない情勢となっている。

とはいえ、2020年から2025年までの公的債務の規模はほぼ横ばいにとどまっており、膨張を免れているとも言える。これはインフレ税(物価上昇による債務残高の実質的抑制)というかたちで、広く国民に負担を強いているからにほかならない。
実際にGDP価格指数(GDPデフレーター)の前年比上昇率は、2010年代は平均で1.8%だったが、2020年からは平均4.2%と、倍以上の水準となっている。
直近2025年4〜6月期時点でも、GDP価格指数の前年比上昇率は4.2%と、2024年の3.7%を上回っている。つまり、イギリス国民にとって、インフレ税は軽くなるどころか、重くなっているのが現実である。こうした環境下での増税は、基本的に価格転嫁によってインフレ圧力を強めるため、国民の政権に対する不満がさらに募ることになると考えられる。
この記事は有料会員限定です
残り 1263文字
