2017年から19年にかけて米国へ向かう移民・難民の実像を取材した著者が、本著で欧州に拠点を移す。戦時下のウクライナやポーランド国境沿いの森、地中海をさまよう密航船と、さまざまな場所で命を懸けて移動する人々に向き合い、その素顔を描く。
──オランダに移り、ご自身も移民になったと。
在留資格次第で人生が左右されることを痛感した。「どうすれば行けるのか」という視点で情報をかき集めた。その際に最も参考になるのは先人の成功談だった。
取材した人たちは、内戦下で兵役を逃れたい若者や、暴力から逃れたい女性らで、身の危険が迫っていた。彼らは、より安全でよい未来が描ける国に移動しようとわらにもすがる思いでSNS上の情報を集め、それを頼りに行動する。その結果が、国境や大陸を越える人の移動につながっていた。
中東やアフリカから欧州を目指す人の間では、海を渡る危険なルートが一般的だった。だが21年に突如、ベラルーシからEUに入るルートができた。「ベラルーシから数日歩けば、EUのポーランドへ渡れる」という成功例がSNSで瞬く間に広がり、世界中から人が呼び寄せられていたのだ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら