第2次世界大戦が終結して以降、国際連合はルールに基づく国際秩序の拠り所であり続けてきた。世界の平和と安定を維持する包括的な役割を与えられた国連が少なくともそれなりの期間にわたって効果的に機能していたのは、世界の民主主義国の支えがあったからだ。中でも決定的に重要だったのは、米国からの支持が民主党と共和党のどちらの政権になっても揺るがなかったことである。
イラク戦争で失った信用と国際秩序
そうした状況を一変させたのが、米ブッシュ(子)政権が2003年に開始したイラク戦争だった。厳しい国際的な反対にさらされる中、国連安全保障理事会の承認を経ずして主権国家のイラクを侵略したことで、米国は自らの信用を激しく傷つけ、ルールに基づく国際秩序を損ない、アフリカと中南米の多数の国々にロシアのウクライナ侵攻を非難しない、もっともな口実を与えてしまったのである。
ウクライナの戦争に対してはインドですら中立を決め込み、米国主導の経済制裁に付け込んでロシア産石油を大幅な安値で買い入れている。地政学的に敵対する中国がロシアとの関係を深めているにもかかわらず、だ。
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